院長ブログ
くすのき瓦版 5月号
くすのき瓦版の5月号が出ましたので、アップします。亀岡市以外の読者の方にも一読をお願いします。
歯科検診を開設しています。4月号はむし歯、5月号は歯肉炎、熾烈、咬合(歯並びやかみ合わせ)、歯垢(歯の汚れ、プラーク)そして額関節について解説します。
歯科健診の結果は如何でしたか? 学校歯科健診(その2)
学校歯科健診はむし歯の治療の立場ではなく、むし歯予防を主眼にした健診になってきた事を前回お話しました。それは、家庭での歯科知識の充実やフッ素の有効な応用によってむし歯が昔の約1/3に減ってきた事や、社会の健康に対しての認識が高まってきている事が大きく関係しています。
歯は結晶構造をしています。生えたばかりの子どもの歯は未成熟でとてもむし歯になり易いのが特徴です。学校歯科医師もなるべく歯を削らないで歯質の成熟を図っていく事を願っています。むし歯の健診はそのような思いで行われている事をご理解下さい。
歯肉炎はむし歯の減少とは違い増加している感じを持ちます。原因としては軟食、スナック菓子の氾濫、夜型生活への移行等が考えられます。子供の歯周病はその大半が歯肉に限局しています。正しい歯ブラシの使用と簡単な歯石の除去できれいに治りますのでご安心下さい。歯肉の評価が「1」の場合は適切な歯ブラシによって改善します。「2」の場合は医院での治療が必要になってきます。また「1」の場合でも中々歯ブラシをしない子供さんはかかりつけの歯科医院で歯ブラシの動機付けをしてもらうのも有効な事です。「先生もっとちゃんと磨くように言ってやってくださいよーっ」という保護者の声は多く聞きます。子どもも個別に歯ブラシを指導されると頑張って磨き出します。
同様に歯垢の判断ではほとんど付着なし「0」、若干の(歯面の1/3以下)付着あり「1」、相当の(歯面の1/3以上)付着あり「2」と判断しますがこの分野で「2」の判定の児童はむし歯や歯肉の評価も相当悪いことが多く家庭でのご指導も含めて今後を考えていく事が求められると思います。
歯列、咬合については実際に治療について医療保険がきかないことが多いのですが最近の傾向として関心をお持ちの家庭が多くなってきています。一般的に骨格的な問題のある場合は早期に治療開始が望ましいのですが、なかなか保護者の感覚では「もう少し様子を見て・・・。」といった事も多いと思います。少なくとも指吸い、頬杖をつくといった癖は直しておきたいものです。歯並びの問題も最近は多く、かかりつけの先生に相談をされる事が望ましいと思います。
顎関節は顎の運動時の雑音、痛みや運動障害について調べます。最大開口時に指が3本お口に入るようならば一応は正常範囲です。学年が上がっていくほど顎関節の問題は多くなる傾向があります。原因はストレスや歯列咬合等の問題が絡み合った結果と考えられます。顎関節の問題の多くはマウスピースを用いて治療しますがこれば医療保険が適用されます。
くすのき瓦版 4月号
亀岡市にくすのき瓦版と言う新聞があります。
嶋村は京都府歯科医師会口丹波支部(亀岡市、南丹市、京丹波町の南丹保健所管内)支部長として記事を書くことになっています。今回は4月15日掲載された文章を読んで頂きます。
はじめまして 歯科医師会です 学校歯科健診(その1)
はじめまして。京都府歯科医師会口丹波支部長の嶋村浩一です。宜しくお願いします。
私たち歯科医師会は学術、啓蒙、医療保険そして会員の親睦の4つの活動をしています。その中でも院外で行う啓蒙活動は日頃お見かけすることの少ない方と接する事が多く、私の大好きな仕事の一つです。主な活動内容は、学校での歯科健診・歯ブラシ指導・フッ化物洗口・学校保健会参加、乳幼児歯科健診、保健センター等での健康相談や講演会開催、毎年10月に開催する「歯のひろば」が挙げられます。この「くすのき瓦版」に寄稿するのも啓蒙活動の一環です。
子どもたちが新しい学校、学年を迎えるこの時期ですが、学校歯科医師は学校歯科健診から新年度が始まります。保護者の方にとっても、まもなく始まる内科検診、身体測定、視力、聴力、耳鼻科健診そして歯科健診は大きな関心事だと思います。最近の学校歯科健診は平成8年に健診内容が改定されたもので、むし歯、歯肉、歯垢、歯列(歯並び)、咬合(噛み合わせ)、顎関節の6つが健診項目になっています。保護者の小中学校の時代とは多少内容が違いますので今回と次回の2回に分けてその説明をさせて頂きます。
むし歯は家庭での歯科知識の充実、フッ素の入った歯磨き粉が多くなった事、そして学校でのフッ化物洗口(フッ素の入った水で毎週1回1分間うがいをする)の完全実施によって昔の約1/3に減ってきました。そのために従来の治療中心の考えから予防歯科的な考え方に変えて健診が行われています。「初期むし歯は治ります」というコマーシャルがある様に「初期虫歯CO(シーオー)があるので予防しましょう」。歯科治療が必要なむし歯があります。そして永久歯が生えてきているので乳歯を抜く時期にきていますよという意味で「要注意乳歯」の3つの評価になっています。
フッ素応用の先進地域である亀岡市、園部町、和知町では子どもの虫歯がほかの地域に比べて少なく、しかも成人になってもむし歯が少ないという事が知られています。このフッ素応用(フッ化物洗口)も健診内容の変更と同じ平成8年度より亀岡市の全ての小学校で行われており、京都市でも昨年度から全ての市立小学校でフッ化物洗口が始まっています。これも私たちの啓蒙活動の一つの成果です。
紙面の関係でむし歯以外の5項目についての説明は次回5月号でさせて頂きます。今後とも宜しくお願いします。(文責 嶋村浩一)
嶋村が京都府保険事業協同組合(保事協)に人物紹介されました
組合員訪問:人に風景あり⑫
嶋村 浩一 先生(亀岡市)
組合員インタビュー第12回は、亀岡市で歯科を開業されている嶋村浩一先生をお訪ねし、四代続く歯科
医院で「患者さんとの二人三脚」をモットーに歯科治療に取り組む先生の意気込みを拝聴しました。スケッチは古い城下町の名残りただよう亀岡の町並です。
Q:先生はお生まれも亀岡なのですか?
A:はい、亀岡で生まれて育ちました。祖父が大正3年8月10日に嶋村歯科医院を開設しました。祖父が昭和28年に亡くなり、まだ学生だった父に代わって東京歯科大学そして慈恵会医科大学を出た伯父が2代目の開設者になりました。その後父が卒業し京都大学口腔外科での研修が終わり歯科医院を継承しました。伯父は東京歯科大学の講義で解剖学や発生学に興味を持ち、医学を志したようです。
私は平成8年に医院の建て替えを機に父から開設者を変更しまして四代目院長ということになります。
Q:幼い頃から歯科医院を継ぐおつもりでしたか?
A:そうですね。やはり物心ついた頃から、自分は古くから続いた歯科医院の後継ぎであることを何気なく意識していたように思います。幼い頃から自分の人生をイメージできたことは私にとっては良かったのかなあと今になって思っています。
Q:どんな少年時代でしたか?
A:小学生時代は近所の野原で草野球に興じる普通の子供でした。同志社中学、高校に通いましたが通学時間が長く、クラブ活動は無理な状態でした。ただ中学時代、血液型のABOの関係やメンデルの逸話を授業で聞き、生物に興味をもったことが印象に残っています。
Q:大学時代は?
A:大阪歯科大学ではバレーボールをやっていました。私が入った時に愛好会から同好会になったところでしたので、そんなに強くはなかったのですが、6年生のオールデンタル(大学対抗戦)まで現役を通していました。楽しかった思い出ばかりですね。特に3回生のオールデンタルの会場で東海大学のバレー部と練習試合をして当時全日本クラスの選手のアタックを受けた時の感触は忘れません。
Q:卒業後は?
A:大学での講義で口腔外科に興味を持ちました。又歯科学全体の研修もしたかったので先輩が多く在籍している京都府立医科大学歯科に入局しました。堀部長からは多くの厳しい指導を受けましたが府立医科大学の伝統の家族的な環境の中で有意義な研修生活を送ることができました。堀部長、武田副部長、松田診療主任、上松医局長はじめ先輩や同僚には感謝しています。
Q:平成8年のご継承までの経過は?
A:昭和60年から中京区の歯科医院へ4年間勤務していました。その前の府立医科大学時代から父の手伝いを少しずつ始めていました。少しずつ手伝う時間・日数を増やしていきましたので、比較的スムーズに引継ぎができたのではないかと思います。とくに30数年勤めてくれていたスタッフや良い患者さんに恵まれたことはありがたかったですね。
Q:患者さんとの地域的つながりという意味ではいかがですか?
A:この周辺が地域的つながりの残る古い町である事。そして嶋村歯科医院が古くからある歯科医院であること。そのような中で患者さんとの人間関係が深いことは大きな財産です。祖父が若いころに診ていた人から数えると七~八代末裔の患者さんを私が診ていることもあり得るのでやはり責任を感じてしまいますね。
Q:先生にとっての今後の課題は?
A:現在は患者さんの多様なニーズがつかみにくい時代ではないかと思っています。患者さんが抱いている漠然とした要望に対して、的確な治療方針を示してあげられるような感性を高めたいと思っています。やはり医療は「患者さんや社会そのものとの二人三脚」で取り組むべきものですからね。
Q:先生のストレス解消法は?
A:特に揚げるような趣味はないのですが、京都や奈良の古寺を歩いて巡ったり、街中で偶然に良い店に出会ったりするのが楽しい時間です。
Q:保事協に期待することなどありましたら?
A:昨秋の60周年祝賀会など楽しい交流の企画には是非とも参加したいです。また医師会、歯科医師会そしてその他の団体の交流の場としてもますますの発展を期待しています。
(文責・スケッチ:大森事務局長)
予防歯科 虫歯予防 歯周病予防
予防歯科は今流行りの学問(不謹慎な言葉です)ですが、本当の予防歯科を知っている先生は意外と少ないのかもしれません(また不謹慎です)。予防歯科とは大切な貴方の歯 或いは 歯周組織をどのようにしていけば大切に出来るか、長持ちすることが出来るのかを考え研究する学問です。
厭になるほどの膨大なデータの中から真実を掘り出す気の遠くなりそうな作業をしてやっと一片の真実を探す学問です。ダイヤを探し出し、削り磨き上げるに等しい学問ですが、大きな普遍性を持つ結果が導くことが出来ます。
しかし歯科の予防はなんと言っても丁寧で適切な歯ブラシ、フッ素応用、歯周病菌の殺菌の3点に尽きます。嶋村歯科医院では専門の歯科衛生士によるPTCと言う歯磨きの実践をしています。院長も良くしています。気持ちが良くって寝てしまう患者さんもいます。予防もLOHASも気持ちが良くないと続きません。
「歯科は気持ちが良いものだ」 は言いすぎでしょうか?