嶋村歯科医院

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くすのき瓦版

2012/05/31
くすのき瓦版 2月号

WHEN A MAN LOVES A WOMAN
くすのき瓦版2月号

いきなり英語が出てきましてすみません。WHEN A MAN・・・はパーシー・スレッジの歌うソウルバラードの名曲でエリック・クラプトンもカバーしています。団塊世代の方はカラオケで歌う方も多いと思います。何故こんなお話かと言いますと、この曲の邦題が「男が女を愛するとき」でして、今月号では「歯科医師が歯を抜こうとするとき」とはどんなときなのだ?と言うことを皆さんにお伝えしたかったからです。
私たち歯科医師が抜歯をしようかなと考えるときというのは、例えば子どもの場合では乳歯が永久歯の萌出を邪魔している場合や歯列矯正での便宜抜歯。成人の場合では虫歯が大きくて治療できなくなっている、歯並びが悪くほかの歯の清掃がその歯のためにできない場合。そして噛んだときに歯が沈むほど緩い場合あたりでしょうか。
歯は噛むためのものですから「この歯のためにここでは噛めない」となっている場合は一般的に抜歯したほうがよいのではないかと考えます。しかし、反対から言えばそれ以外は抜歯を待ってもよいことになりますよね。むし歯治療や歯周治療が進めば抜歯をしなくてもすむことも多いです。「親知らず」も他の歯がない方にとってはブリッジや入れ歯のバネの架かる歯(鉤歯)にもなります。
抜歯の適応は飽くまで「相対的」な中で考えるべきものです。ですから抜歯を考える場合でも糖尿病でHbA1cが6.5以上(以前に書きましたが覚えていますか?)、心筋梗塞が6ヶ月以内にあった、骨粗しょう症の薬を長年飲んでいる、といった方は抜歯を遠慮する傾向があると思います。透析中或いは肝硬変で体調が悪い場合もやはり同様の傾向があると思います。血液サラサラのお薬を飲んでいり方は「かかりつけ医」に相談をされたうえで抜歯はできます。その際、直近のPT-INRをお知らせいただければ歯科医師は安心して処置ができます(くすのき瓦版10月号参照)。
歯の最後(抜歯)を決断することはわれわれ歯科医師でも相当悩むところです。「この歯を抜かれて…」という会話がよく歯科医院では交わされます。しかし歯科医師の本心は「長い間もってくれたがついに駄目になって…」と、言われたいのです。そのためにも何でも相談のできる「かかりつけ歯科医院」を見つけて頂きたいと願っています。歯は一生の宝物です。貴方の宝物を「かかりつけ歯科医院」とともに二人三脚で大切にしていきましょう。
(文責 嶋村浩一)

2012/01/04
くすのき瓦版11月号

くすのき瓦版 (11月号)
妊娠とお口のこと

4月、5月号では「学校歯科健診」、6月号では「前歯の歯並び」、7月、8月号では「飲み物について」9月号では「歯のひろば」の案内、そして10月号では「血液サラサラのお薬」の文章を書いていました。知り合いから記事内容についての質問をお受けすることも時折あります。「くすのき瓦版」に対しての関心の高さを改めて感じる次第です。
妊娠中に歯が悪くなると言うことをよく聞きます。そして妊娠中に歯科医院に健診に行こうとする女性が少ないのも実際です。歯科医院では妊婦さんに対してのお薬は安全性の高い抗生物質、痛み止めが用意できます。現在のレントゲンは極めて少量の線量での撮影が可能ですし、防護エプロンも用意できます。麻酔の注射も安全性が高く胎児への影響は極めて少ないことは「知識」としてご存知だと思います。でも妊婦さんには「母性」があります。「母性」と言うものは「本能」ですよね。「本能」はよく「理性」や「知性」を上回ります。ダイエットもなかなか成功しません。食欲は「本能」なのです。ただでさえ怖い歯科治療をわざわざ妊娠中に受けることは「本能」が許さないのかもしれませんね。
悪阻の時期には歯ブラシを見ただけでも気分が悪くなる人もいます。また妊娠中期以降は唾液が粘調になったり、歯肉が赤く腫れて出血し易くなったりすることがあります。そしておなかが大きくなると食事の一回量が少なくなり、結果として間食が増えお口の中の不潔な時間が増えてしまいます。お口の健康については「妊娠」は大きなハンディなのです。女性の所謂ブライダルケアの中に歯科も入れておいてください。
妊娠中、特に悪阻の時期は歯ブラシがし難く奥までブラシが届かなかったりします。少し小さめの歯ブラシでこまめにうがいをしながら磨いてください。うがい薬を併用していただく事も有効です。
妊娠中期から後半にかけて歯肉が腫れて出血しやすくなることがあります。これはエストロゲンやプロジェステロンと言った妊娠中に多く出るホルモンによって歯肉の炎症が起こりやすくなっているためです。またある種の歯周病菌(PI菌 プレポテラ・インテルメディア菌)が血中に入り胎盤を通り抜けて羊水に入り込んだときに子宮が収縮し、早産に至ることがあります。歯周病患者は健康な歯肉を持った妊婦に対して約7.5倍の早産(即ち低体重児出産)の可能性があることは女性にはよく知っておいて頂きたいことです。
「子どもを産んでから歯が悪くなった」とか「赤ちゃんにカルシウムを取られて、歯周病になった」ということは決してありません。むし歯や歯周病に対してリスキーな時期をかかりつけ歯科医と共に上手に乗り切ってください。かかりつけ歯科医院での定期的な健診は妊娠中にこそ大切なものなのです。妊娠中のお口の手入れが出産後の女性のお口の将来を左右すると言っても過言ではありません。

2011/10/29
くすのき瓦版 8月号

夏の飲み物(その2)
 先月号ではついお酒の話に終始してしまいました。酸アルカリを示すpHを示しながらむし歯になりやすい飲み物についてお話を進めてきました。pH5.6以下(生えたばかりの永久歯は5.8以下)で歯が溶け出すというお話でした。蒸留酒であるウイスキーがお酒の中では一番pHが高いので(pH6.0)どんどん飲んで歯磨きをしないで寝てもよいというお話ではありません。やはりウイスキーの中の糖分がお口の中の細菌によって分解され発酵し酸性になりますので良く歯ブラシをしてお休み下さいと言うお話でした。
自動販売機やコンビニで多くの飲み物が出回っていますが意外と飲み物の特性は知られていません。前回と同じようにpHの値で説明しましょう。コーラはpH2.2~2.9、スポーツドリンクは3.3~3.8、オレンジジュースが4.0です。「午後の紅茶」がpH5.5で「午後の紅茶」の中に歯を漬けておいただけでは歯は溶け出さない状態です。缶コーヒーが6.2、「生茶」が6.3、ミルクが6.8、ヴォルビックが7.0となります。
 スポーツドリンクが意外と酸性が強いことに驚かれることでしょう。「夏の暑い時期に小さい子どもに水分の吸収が良く脱水予防に適している」と考えがちですがむし歯対策にとっては相当危険な事ですのでご注意してくださいね。口当たりの良い塩水ですのでついつい摂取量も多くなり塩分の取りすぎにもなります。以上の理由でスポーツドリンクのスポーツでの水分補給の使用以外にはあまりお勧めできません。クラブ活動でスポーツドリンクを常用している子供たちのむし歯を「部活むし歯」と名前をつけている歯科医師もいる位なのです。
因みにマラソン選手のスペシャルドリンクの中身は、紅茶を薄めてレモンや蜂蜜を入れて好みの味にすることが多いそうです。クラブの飲み物に「薄めの紅茶」は水分補給はもちろんミネラル分の補給対策にも理に適っている飲み物だと思います。
缶コーヒーは6.2なのでそのままでは5.4には達しませんが口に残ったコーヒー(糖分)を口の中の細菌が分解し発酵し酸を作るのでやはり危険です。「午後の紅茶」も同様です。でもあれこれ心配ばかり言っても嫌になりますよね。どのような飲み物にも特徴があります。分厚いハンバーガーにはやはりコーラが合いますし、熱が出た時にスポーツドリンクはやはり口当たりもよく体には受け入れやすいものです。
結論としては「歯に悪いものばかり習慣的に飲んでいる人は、お茶や水で喉の渇きを潤している人に比べてむし歯が起こりやすい事は確かな事なのだ。」と、まとめる事ができると思います。

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