
院長ブログ
太田保育園 はだしっ子 寄稿
「白いむし歯と黒いむし歯」
6月は「むし歯の月間」ということで今月は「歯の事」についてお話しをします。
「むし歯は黒い」と思い込んでいる方が多いので不思議な表題ですよね。でも歯は白いのです。むし歯は最初白く、着色されて黒くなっていくとお考えください。言い換えれば進行の速いむし歯は白く、進行の遅かったむし歯は黒いとお考えになってもいいかと思います。
むし歯は歯の表面の汚れが長期間放置され、むし歯菌がその汚れから酸を作り、酸の作用で歯の表面構造が少し崩れ(初期むし歯)歯の構造が弱くなって基質であるコラーゲンが溶け出して、その中に色素(例えば茶シブ、醤油、ソース、味噌)がしみこんで黒くなっていくのです。長い説明になりましたがむし歯の誕生にはこの説明よりも更に長い期間が必要です。ですから日頃の手入れを少し丁寧にすることでむし歯の予防は出来ます。しかしむし歯に対して抵抗力の少ない乳歯はむし歯の進行が速く、黒くならないうちに歯が欠けてしまうことも多くあります。
乳歯で一番むし歯ができやすい部分は右下の前から4番目(第一乳臼歯)の後ろ側です。1歳3ヶ月から1歳6ヶ月に萌出してその後ろの第二乳臼歯が2歳6ヶ月頃に萌出しますので約1年間磨きにくいままになってしまう部分です。
それと上の前の歯で上唇の筋のきつい児童にもむし歯が散見されます。離乳・断乳の遅かった児童も同様です。前歯が黒いと児童が友達関係でコンプレックスを持つこともあります。
一般的に歯みがき粉にはむし歯予防に有効なフッ素が入っています。あずき大程の歯みがき粉を歯ブラシにつけて子どもに磨かせ、保護者にはその後に子どもの磨きにくい場所を磨いてもらうといいでしょう。磨きにくい場所はむし歯になりやすい場所です。右下の奥と上の前歯が要注意箇所です。保護者の方の丁寧な仕上げ磨きをお願いします。
(嶋村浩一記 20160517)